北京京劇院は国立の老舗劇団です。
それだけ俳優さんも多くてベテラン組、若手組…と
3班くらいを抱えているそう。
今回の公演は、その中の若手組による舞台でした。
「火焼余洪」
(女将軍が知恵を使い敵軍を焼き払う)
主要人物は女将軍と敵将軍だけ。
ストーリーが非常に単純で台詞も少ない、短い演目です。
その分立ち回りが激しいと楽しかったですが
生憎大技のある立ち回りは殆どなし。
俳優さんも固くなっていて、失敗が多かったです。
お客さんも「あれーもう終わりかぁ…」って雰囲気だったので
ちょっと演目選びが失敗だったかも。
ただ、女将軍の目の演技・細かい仕草は結構キマっていて
武劇(立ち回りで魅せる劇)と言うよりは
文劇(物語や演技で魅せる劇)にちょっと毛が生えた演目だった感が。
「秋江」
(恋人を舟で追い掛ける美人尼)
典型的な文劇で、尼と、ふざけたがりの老船頭が
息を合わせて舟上の揺れを表現するのが見所です。
「水に揺られている」ので
あまり動きを見せないようにする足元の演技は大変ですが
そこは上手にこなせていました。
老船頭の櫂捌きや仕草は上手いなぁと思ったんですが
尼さんは感情表現が今一つかなぁと感じました。
もっと困った・怒ったを激しく出せたら面白くなった気がします。
「西遊記―無底洞の巻」
(鼠の精に誘拐された三蔵法師を救出する)
石山雄太さんが孫悟空役で出演されていて
かなり客席も盛り上がっていました。
中国人がプロの歌舞伎俳優になるようなもんですからね。
この演目の主人公は雌鼠の精(無底洞鼠一家のボス)で
彼女が中心になって立ち回りやら演技やらをするので
実は孫悟空って、そこまで目立たない演目なんです。
そう考えると、石山さんを孫悟空に配した
劇団の裏事情がちょっと見えてくるような…(笑)
この演目はわりと立ち回りが激しくて
鼠の精が周りから次々に投げられる武器を
手足や肩で跳ね返していく大技(出手)が見事でした。
周りを取り囲む小役さんに、ホント正確に返して行くんです。
何回かこの出手は見てきましたが
今までで一番正確に・綺麗にキマっていました。
あんまり素晴らしかったので、直後の見栄切りの時に
「好!(良いぞ)」って声を掛けてあげました。
凄く良かったです。あれは。
総合的に考えると、ちょっともの足りない感が拭えないんですが
最後の出手はやっぱり凄かったなぁと思います。
あんなに正確な大技を見れて良かったです。